第二種作業環境測定士:労働者の健康を守る、職場環境の番人
現代の職場環境には、目に見えない様々な危険が潜んでいます。粉じん、有機溶剤、騒音、振動など、これらの有害因子は労働者の健康を蝕み、深刻な職業病を引き起こす可能性があります。
労働者の健康を守るためには、職場環境における有害因子を正確に測定し、適切な対策を講じる必要があります。その重要な役割を担うのが作業環境測定士です。
作業環境測定士は、専門的な知識と技術を用いて職場環境の測定を行い、労働者の健康障害を予防するためのスペシャリストです。今回は、第二種作業環境測定士の資格に焦点を当て、その役割、取得方法、必要な知識、活かせる仕事などについて詳しく解説していきます。
第二種作業環境測定士とは?
作業環境測定士は、労働安全衛生法に基づき、職場環境における有害因子を測定し、評価を行う国家資格です。大きく分けて、第一種作業環境測定士と第二種作業環境測定士の二つに分類されます。
第二種作業環境測定士は、特定の有害因子について、簡易測定器を用いた測定やサンプリングを行うことができます。具体的には、以下の業務を行うことができます。
- 特定化学物質の簡易測定: 有機溶剤、特定化学物質など、特定の化学物質の濃度を簡易測定器を用いて測定します。
- 粉じんの簡易測定: 職場環境における粉じんの濃度を簡易測定器を用いて測定します。
- 騒音レベルの測定: 職場における騒音レベルを測定器を用いて測定します。
- 照度の測定: 職場における照度を測定器を用いて測定します。
- サンプリング: 化学物質や粉じんなどを採取し、分析機関に送付するためのサンプリングを行います。
第二種作業環境測定士の役割
第二種作業環境測定士は、労働者の健康を守るために、以下の様な役割を担います。
- 作業環境の測定: 職場環境における有害因子を、適切な測定方法を用いて正確に測定します。
- 測定結果の評価: 測定結果に基づき、作業環境の状況を評価し、改善が必要な箇所を特定します。
- 改善策の提案: 測定結果や評価に基づき、事業者に対して作業環境の改善策を提案します。
- 労働者への情報提供: 測定結果や健康リスクについて、労働者に分かりやすく説明します。
- 関係法令の遵守: 労働安全衛生法、作業環境測定法など、関係法令を遵守し、適正な業務遂行を行います。
第二種作業環境測定士の取得方法
第二種作業環境測定士の資格を取得するには、以下の手順が必要です。
- 受験資格の確認: 第二種作業環境測定士の受験資格は、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 理系の大学または高等専門学校を卒業し、実務経験が1年以上ある者
- 理系以外の大学または高等専門学校を卒業し、実務経験が3年以上ある者
- 高校または中学校で理科系統の正規の学科を修め、実務経験が3年以上ある者
- 高校または中学校で理科系統以外の正規の学科を修め、実務経験が5年以上ある者
- 国家試験の受験: 公益社団法人日本作業環境測定協会が実施する国家試験に合格する必要があります。試験は年に1回実施されます。
- 登録講習の受講: 国家試験に合格後、公益社団法人日本作業環境測定協会が実施する登録講習を受講し、修了する必要があります。
- 作業環境測定士名簿への登録: 登録講習を修了後、都道府県労働局に申請し、作業環境測定士名簿に登録されることで、正式に作業環境測定士として活動することができます。
第二種作業環境測定士に必要な知識
第二種作業環境測定士には、以下の様な幅広い知識が求められます。
- 化学: 化学物質の性質、有害性、分析方法などに関する知識。
- 物理: 騒音、振動、照度などの測定原理、測定器の取り扱いに関する知識。
- 生物: 人体の構造と機能、有害因子が人体に及ぼす影響などに関する知識。
- 法律: 労働安全衛生法、作業環境測定法など、関係法令に関する知識。
- 測定技術: 各種測定器の取り扱い、測定方法、データ分析などに関する知識。
- コミュニケーション能力: 事業者や労働者に対して、測定結果や改善策などを分かりやすく説明する能力。
第二種作業環境測定士の資格を活かせる仕事
第二種作業環境測定士の資格は、以下の様な場で活かすことができます。
- 作業環境測定機関: 作業環境測定を専門に行う民間企業。
- 企業: 企業の安全衛生部門、環境管理部門など。
- 研究機関: 労働安全衛生に関する研究を行う機関。
- コンサルタント: 企業に対して、作業環境の改善に関するコンサルティングを行う。
具体的な仕事内容としては、職場環境の測定、測定結果の評価、改善策の提案、労働者への情報提供などがあります。
第二種作業環境測定士の将来性
労働者の健康意識の高まり、労働安全衛生法の改正などにより、作業環境測定の重要性はますます高まっています。
それに伴い、 作業環境測定士の需要も増加傾向 にあり、 第二種作業環境測定士は、 特定の有害因子に特化した専門性を活かして活躍 することができます。
また、近年では、化学物質だけでなく、 作業関連疾患 の予防も重要視されており、 作業環境測定士の活躍の場はさらに広がっていく と予想されます。
まとめ
第二種作業環境測定士は、労働者の健康を守るために、職場環境の測定と評価を行う重要な役割を担っています。専門的な知識と技術を駆使し、安全で快適な職場環境づくりに貢献することができます。