資格:地山の掘削及び土止め支保工作業主任者

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地山の掘削及び土止め支保工作業主任者: 地下工事の安全を守る、現場のリーダー

トンネル工事や地下構造物の建設、道路の切土工事など、地盤を掘削する工事は、私たちの生活を支える社会基盤整備に欠かせないものです。しかし、地山の掘削は、土砂崩壊や落盤などの危険を伴う、非常にリスクの高い作業です。

そこで、作業員の安全を確保し、事故を未然に防ぐために重要な役割を担うのが地山の掘削及び土止め支保工作業主任者です。

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者は、労働安全衛生法に定められた国家資格であり、地山の掘削工事や土止め支保工作業における安全管理のスペシャリストです。

今回は、地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の資格について、その役割、取得方法、必要な知識、活かせる仕事、そして将来性まで詳しく解説していきます。

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者とは?

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者は、労働安全衛生法に基づき、地山の掘削工事や土止め支保工作業を行う際に、作業の安全を確保するための監督・指導を行う 資格です。

地山の掘削工事とは、自然の地盤を掘削する工事のことで、具体的には以下のような作業が含まれます。

  • トンネル工事
  • 地下鉄工事
  • 地下駐車場工事
  • 道路建設における切土工事
  • 基礎工事における掘削工事

土止め支保工作業とは、掘削した地盤が崩壊しないよう、土留めや支保工を設置する作業のことです。

これらの作業は、土砂崩壊、落盤、転落などの危険を伴うため、作業主任者を選任し、安全管理を徹底することが法律で義務付けられています。

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の役割

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者は、現場の安全を守るリーダーとして、以下の様な役割を担います。

  • 作業計画の作成: 作業手順、安全対策、緊急時の対応などを盛り込んだ作業計画を作成します。
  • 作業前の点検: 作業前に、機械、器具、作業場所などの点検を行い、安全性を確認します。
  • 作業中の指導: 作業中は、作業員に対して安全な作業方法を指導し、危険箇所がないか監視します。
  • 安全教育: 作業員に対して、安全衛生に関する教育を実施します。
  • リスクアセスメント: 作業に伴う危険性を予測し、対策を検討します。
  • 事故発生時の対応: 事故が発生した場合、原因を調査し、再発防止 measures を検討します。
  • 関係法令の遵守: 労働安全衛生法、建設業法など、関係法令を遵守し、安全管理体制を構築します。

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の取得方法

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の資格を取得するには、技能講習を修了する必要があります。技能講習は、都道府県労働局長登録教習機関が実施しており、全国各地で受講することができます。

受講資格は、以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 3年以上、地山の掘削作業または土止め支保工作業に従事した経験があること。
  • 学校教育法による大学、高等学校、または中等教育学校において、土木、建築、農業土木に関する学科を専攻して卒業し、その後2年以上、地山の掘削作業または土止め支保工作業に従事した経験があること。

技能講習の内容は、以下の通りです。

  • 関係法令
  • 地山の掘削に関する知識
  • 土止め支保工に関する知識
  • 作業安全に関する知識
  • 災害防止対策
  • 関係法令
  • 学科試験

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者に必要な知識

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者には、以下の様な知識が求められます。

  • 土質力学: 土の性質、地盤の安定性、土圧などに関する知識。
  • 地盤調査: 地盤の調査方法、土質試験、地盤の安定性評価などに関する知識。
  • 掘削工法: 各種掘削工法の特性、適用範囲、安全対策などに関する知識。
  • 土止め支保工: 各種土止め支保工の種類、構造、設計、施工方法などに関する知識。
  • 安全管理: リスクアセスメント、安全教育、作業管理、事故防止対策などに関する知識。
  • 法令: 労働安全衛生法、建設業法など、関係法令に関する知識。
  • リーダーシップ: 作業員を指導し、安全作業を推進するためのリーダーシップ。
  • コミュニケーション能力: 関係者と円滑にコミュニケーションを図る能力。
  • 問題解決能力: 現場で発生する問題を迅速かつ的確に解決する能力。

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の資格を活かせる仕事

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の資格は、土木工事現場において幅広く活かすことができます。

  • 建設会社: トンネル工事、道路工事、ダム工事など、地山の掘削を伴う土木工事現場。
  • 土木工事専門会社: 地盤改良工事、基礎工事など。
  • コンサルタント: 土木設計、施工管理、安全コンサルタントなど。
  • 官公庁: 国土交通省、地方自治体など。

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の将来性

社会基盤整備の重要性が高まる中、地山の掘削工事は今後も継続して需要が見込まれます。

また、近年では、老朽化したインフラの改修工事、都市部の再開発、リニア中央新幹線などの大規模プロジェクトも進行しており、地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の需要は安定していると言えるでしょう。

さらに、安全意識の高まり、建設技能者の高齢化などを背景に、安全管理のスペシャリストである作業主任者の重要性はますます高まっていくと予想されます。

まとめ

地山の掘削及び土止め支保工作業主任者は、地盤を掘削する工事現場において、作業員の安全を守る、非常に重要な役割を担っています。専門的な知識と技術、そしてリーダーシップを活かし、安全で効率的な工事の遂行に貢献することができます。

土木工事に関心があり、現場の安全管理に携わりたいという方は、ぜひ地山の掘削及び土止め支保工作業主任者の資格取得を目指してみて下さい。