英文速記者

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英文速記者

仕事内容の詳細

英文速記者は、英語の音声や映像をリアルタイムで文字に起こす専門職です。会議、講演会、裁判、記者会見、インタビュー、テレビ番組の生放送、オンラインセミナーなど、多岐にわたる場面で活躍します。その主な業務内容は以下の通りです。

1. リアルタイム文字起こし

これが英文速記者の最も代表的な業務です。話されている英語を、高度なリスニング力とタイピングスキルを駆使して、ほぼ同時に文字に変換します。正確さはもちろんのこと、スピードも極めて重要視されます。特に生放送や会議など、遅延が許されない場面では、話速に追いつくための訓練が不可欠です。

2. 議事録作成

会議やセミナーの内容を記録し、後から確認できるように議事録を作成する業務も行います。発言者ごとの区別、発言内容の正確な記録、必要に応じて専門用語や固有名詞の正確な表記などが求められます。録音された音声を聞きながら行う場合や、リアルタイムで文字起こししたものを編集・整形する場合などがあります。

3. 字幕作成

テレビ番組、映画、DVD、ウェブ動画などの字幕を作成します。これは、単に音声を文字に起こすだけでなく、映像とのタイミングを合わせ、視聴者に内容を理解しやすくするための工夫が必要です。また、字幕の文字数制限や表示時間なども考慮しなければなりません。

4. 裁判記録・法廷速記

法廷での証言や議論を正確に記録する業務です。これは極めて高い正確性が求められ、法的な専門知識も必要となる場合があります。法廷速記者は、法的手続きの正確性を担保する重要な役割を担います。

5. 専門用語・固有名詞の知識

医療、法律、IT、金融など、特定の分野の専門用語や固有名詞を正確に理解し、記述できる能力が求められます。そのため、担当する分野に関する知識を常にアップデートしていく必要があります。

6. 編集・校正

文字起こしや字幕作成後、誤字脱字、文法ミス、表記の統一などをチェックし、最終的な品質を高めるための編集・校正作業も行います。

必要なスキル・資格

英文速記者として活躍するためには、以下のようなスキルと、場合によっては資格が有利になります。

1. 高度な英語力

ネイティブレベルのリスニング力とスピーキング力(発音の理解)、そして正確なタイピングスキルが必須です。特に、様々なアクセントや話し方に対応できるリスニング力は重要です。

2. タイピングスキル

通常のタイピング速度よりも遥かに速い速度で、正確にタイピングできる能力が求められます。一般的に、分速100~200ワード以上が目安とされます。

3. 専門用語・ITスキル

分野に応じた専門用語の知識に加え、音声認識ソフトや編集ソフトなどのITスキルも役立ちます。PC操作に精通していることは必須条件です。

4. 集中力・継続力

長時間にわたり、高い集中力を維持できる能力が求められます。特にリアルタイムでの文字起こしは、精神的な負担も大きいため、集中力と継続力は不可欠です。

5. 資格

公的な資格制度は限定的ですが、民間団体が実施する速記技能検定や、英語関連の資格(TOEIC、TOEFLなど)は、スキルの客観的な証明として役立ちます。また、ITスキルを証明する資格なども有利になる可能性があります。

口コミ・感想

英文速記者という仕事に対する口コミや感想は、その専門性の高さとやりがい、そして厳しさの両面が語られています。

ポジティブな意見

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「英語を聞き取る力が格段に向上しました。毎日、様々な国の人の英語に触れるので、リスニング能力が飛躍的に伸びます。これは他の仕事では得られない、この仕事ならではの大きなメリットです。」

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「最新の情報をいち早くキャッチできるので、知的好奇心が満たされます。特にITやビジネス系の会議を担当することが多いのですが、最先端の話題に触れることができるのは面白いです。」

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「自分のスキルが直接、情報伝達やコミュニケーションの円滑化に貢献している実感があります。会議がスムーズに進んだり、正確な情報が伝わったりした時の達成感は大きいですね。」

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「在宅でできる仕事も多いため、ワークライフバランスを調整しやすいと感じています。自分のペースで仕事を進められるのは魅力です。」

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「専門性が高く、需要がある仕事なので、安定して仕事を見つけやすいです。フリーランスとしても活躍しやすい分野だと思います。」

ネガティブな意見・大変な点

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「とにかくタイピングスピードと正確性が命。初心者の頃は、話速に全く追いつけず、何度も挫折しそうになりました。地道な練習が本当に必要です。」

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「長時間の集中力維持が想像以上に大変です。特に会議が長引いたり、発言が早口だったりすると、精神的にかなり疲弊します。肩こりや目の疲れも日常的です。」

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「専門用語や業界知識の学習は必須です。担当する分野が変わるたびに、新しい用語を覚えなければならないので、学習意欲がないと務まりません。」

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「音源によっては、雑音が多くて聞き取りにくい場合があります。ノイズキャンセリングイヤホンが手放せません。」

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「単価の安い案件もあり、スキルに見合った報酬を得るためには、実績を積んで単価交渉できるようになるまで時間がかかることもあります。」

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「裁判所など、特定の場所で働く場合は、服装規定があったり、守秘義務が厳しかったりすることがあります。自由度は案件によります。」

未経験者へのアドバイス

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「未経験から始めるなら、まずは速記ソフトの練習から始めることを強くお勧めします。そして、とにかく毎日、英語の音声を聞きながらタイピングする習慣をつけましょう。短いニュースやポッドキャストから始めるのが良いでしょう。」

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「専門学校やオンライン講座などを活用するのも有効です。体系的に学べるので、効率よくスキルを習得できます。」

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「最初は単価の安い仕事でも、経験を積むことを優先しましょう。実績ができれば、より良い条件の案件に挑戦できるようになります。」

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「健康管理も重要です。長時間のタイピングによる身体への負担を軽減するため、適度な休憩やストレッチを取り入れましょう。」

まとめ

英文速記者は、高度な英語力とタイピングスキル、そして何よりも集中力と継続力が求められる専門職です。その仕事内容は、リアルタイムでの文字起こしから議事録作成、字幕作成、法廷速記まで多岐にわたります。最新の情報に触れられたり、知的好奇心が満たされたりといったやりがいがある一方で、長時間労働や精神的な負担、継続的な学習の必要性といった厳しさも伴います。

未経験からこの道を目指す場合は、地道な練習と体系的な学習が不可欠です。速記ソフトの習得、英語のリスニング力向上、タイピング速度の向上に日々励むことが成功への鍵となります。資格取得もスキルの客観的な証明として有利に働くでしょう。

この仕事は、語学力とITスキルを活かし、確実な情報伝達を支えるという、社会的に重要な役割を担っています。真摯にスキルを磨き、向上心を持ち続けることで、専門家として確固たる地位を築くことができるでしょう。

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