厩務員

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厩務員(きゅうむいん)について:仕事内容・資格・口コミ・感想

厩務員は、競馬の世界において馬の世話をする専門職です。華やかなレースの裏側で、馬の健康を維持し、最高のパフォーマンスを発揮できるようにサポートする重要な役割を担っています。この仕事に興味がある方、または厩務員についてもっと知りたい方のために、仕事内容、必要な資格、そして実際に働いている方々の口コミや感想を詳しくご紹介します。この情報が、あなたのキャリア選択や理解の一助となれば幸いです。

厩務員の仕事内容:馬の健康と成長を支える日々

厩務員の仕事は、単に馬に餌を与えるだけではありません。馬の心身の健康を細部にわたり管理し、トレーニングのサポート、そしてレースに向けた準備など、多岐にわたる業務を行います。その仕事内容は非常に専門的で、馬に対する深い愛情と知識が不可欠です。

日々のルーティンワーク:馬との密接な関わり

厩務員の1日は、早朝から始まります。まず、馬房の掃除、敷料の交換、そして給餌と給水を行います。馬は非常にデリケートな生き物であり、清潔な環境と適切な栄養管理は健康維持の基本です。餌の量や種類は、馬の年齢、体調、トレーニングの状況などによって細かく調整されます。また、給水器の故障がないか、水は清潔かどうかも毎日確認します。

馬の健康状態のチェックも重要な業務です。馬は痛みや不調を隠す傾向があるため、厩務員は馬の歩き方、食欲、毛艶、鼻息、そして馬房での様子などを注意深く観察します。目に見えない変化に気づくことが、早期発見・早期治療につながります。異常が見られた場合は、すぐに調教師や獣医師に報告し、連携して対応します。

調教・運動のサポート:馬の能力を引き出す

厩務員は、調教師の指示のもと、馬の調教や運動のサポートも行います。騎乗して馬の調子を確認したり、運動のペースを管理したりすることもあります。馬の性格や気性に合わせて、安全かつ効果的に運動できるよう配慮します。単に馬を走らせるのではなく、馬の潜在能力を最大限に引き出すためのトレーニングを、馬との信頼関係を築きながら進めていきます。

また、馬場での運動だけでなく、洗い場での運動や、馬場馬術の練習なども行います。馬がリラックスして運動できるよう、声かけや触れ合いを大切にします。

装鞍・手入れ:レースに向けた準備

レースが近づくと、装鞍(そうあん)や毛の手入れにも一層力を入れます。装鞍は、馬に鞍(くら)や手綱などを装着する作業ですが、馬に負担をかけず、かつ安全に運動できるよう、熟練した技術が求められます。毛の手入れは、馬の健康状態を把握するためにも重要ですが、見た目を美しく保つことで、馬の精神状態にも良い影響を与えます。ブラッシングは、馬とのコミュニケーションの時間でもあり、馬との絆を深める大切な作業です。

レース当日には、出走する馬の最終確認、輸送の手配、そしてレース会場でのケアなど、細やかな気配りが求められます。

馬房管理・衛生管理:感染症予防の要

馬房は、馬が長時間過ごす場所であるため、常に清潔に保つ必要があります。毎日の掃除に加え、定期的な消毒や敷料の交換も行い、衛生状態を良好に保つことで、感染症の予防に努めます。馬は集団で飼育されることが多いため、一頭でも感染症にかかると、他の馬にも広がるリスクがあります。厩務員の徹底した衛生管理が、厩舎全体の健康を守る鍵となります。

その他:通院・健康診断のサポート

馬の健康診断や、必要に応じて獣医師のもとへの通院のサポートも行います。馬は輸送にもストレスを感じるため、できるだけ負担のかからないように注意深く搬送します。獣医師との連携は、馬の健康管理において非常に重要です。

厩務員になるために:資格・スキル・経験

厩務員になるために、必須の国家資格はありませんが、関連する資格を取得することで、専門知識やスキルを証明し、就職やキャリアアップに有利になる場合があります。また、馬に関する経験や、厩務員として働く上で求められる資質も重要です。

関連資格・スキル:専門性を高める

厩務員になるための直接的な資格はありませんが、以下のような資格やスキルがあると役立ちます。

  • JRA(日本中央競馬会)の職員採用試験: JRAの厩務員は、JRAが実施する職員採用試験に合格する必要があります。
  • 地方競馬の厩務員: 地方競馬の厩務員になる場合は、各地方競馬組合が実施する採用試験や、厩務員養成機関の研修などを経ることが一般的です。
  • 民間ホースライディングクラブなど: 民間の乗馬クラブなどで厩務員として働く場合、特定の資格は必須ではないことが多いですが、馬に関する知識や経験が重視されます。
  • 日本馬事協会の馬術ライセンス: 馬術ライセンスは、馬の扱いに関する一定の知識や技術を証明するもので、厩務員としての業務に役立つ可能性があります。
  • 獣医学や動物看護に関する知識: 馬の健康管理に深く関わるため、基本的な獣医学や動物看護に関する知識があると、より専門的なケアが可能になります。

求められる資質:馬への愛情と責任感

厩務員には、以下のような資質が求められます。

  • 馬への愛情と献身: 馬を大切に思い、その健康と幸福を第一に考える気持ちが最も重要です。
  • 責任感と忍耐力: 馬の世話は、天候や時間帯に関わらず、毎日行う必要があります。責任感を持って、根気強く業務に取り組む姿勢が求められます。
  • 観察力と判断力: 馬の些細な変化に気づき、適切な対応をするための観察力と、状況に応じて的確な判断を下す力が不可欠です。
  • 体力と健康: 馬の世話には、重いものを運んだり、長時間立ちっぱなしで作業したりと、体力が必要です。
  • コミュニケーション能力: 調教師、獣医師、他の厩務員など、様々な人と連携して仕事を進めるため、円滑なコミュニケーション能力も大切です。
  • 柔軟性と適応力: 馬の体調や気候など、日々状況が変化するため、臨機応変に対応できる柔軟性も求められます。

未経験からの挑戦:厩務員養成学校や研修制度

未経験から厩務員を目指す場合、厩務員養成学校や、競馬学校、地方競馬組合などが設けている研修制度を利用するのが一般的です。これらの機関では、馬の扱い方、調教方法、健康管理、厩舎管理など、厩務員として必要な専門知識や技術を体系的に学ぶことができます。卒業後、競馬学校や厩務員養成学校の紹介を通じて、競馬場や牧場に就職するケースが多いです。

厩務員の口コミ・感想:現場の声

実際に厩務員として働いている方々の声は、仕事の魅力や厳しさを知る上で非常に参考になります。ここでは、様々な視点からの口コミや感想をご紹介します。

仕事の魅力:馬との一体感、成長を支える喜び

「何と言っても、馬と触れ合えることが一番の魅力です。言葉は通じなくても、馬の気持ちが分かった時、心で繋がっていると感じる瞬間は、何物にも代えがたい喜びです。自分の手で世話をした馬が、レースで活躍してくれた時の感動は、他の仕事では味わえないでしょう。」

「馬が日ごとに元気になっていく姿、トレーニングを積んで成長していく姿を見るのは、大きなやりがいです。馬の体調を細かく把握し、少しでも良い状態に持っていくために試行錯誤する過程も、とても面白いです。獣医師や調教師との連携で、馬の命を預かっているという責任感と、それを乗り越えた時の達成感は大きいです。」

「競走馬を間近で見られる、触れられるというのは、競馬ファンにとっては夢のような仕事です。パドックで輝く馬たちの姿を、一番近くで見守ることができるのは、厩務員ならではの特権です。」

仕事の厳しさ:体力的な負担、精神的なプレッシャー

「早朝から深夜まで、休みなく馬の世話をするのは、想像以上に体力的にきついです。特に冬場の寒い時期や、夏場の暑い時期は、過酷さを感じます。馬房の掃除や、重い飼料を運ぶ作業など、地道で力仕事も多いです。」

「馬の体調は日々変わるため、予期せぬ病気や怪我に対応しなければならないこともあります。馬の命を預かっているというプレッシャーは常にありますが、最善を尽くすしかありません。精神的な負担も少なくありません。」

「レースの結果によっては、調教師や関係者からの厳しい意見を受けることもあります。馬のパフォーマンスを最大限に引き出すためには、常に高いレベルが求められます。結果が出ない時には、自分を責めてしまうこともありました。」

「人間関係も重要です。厩舎はチームで動いているので、円滑なコミュニケーションが取れないと、仕事がスムーズに進みません。また、馬の性格や気性によっては、扱いが難しい馬もおり、経験と知識を積むまでは苦労することもあります。」

厩務員としての成長:経験と知識の蓄積

「最初は何も分からず、先輩に教わりながら必死に仕事をしていました。失敗もたくさんしましたが、一つ一つの経験が自分の力になっていくのを実感します。馬の顔を見れば、その日の体調がなんとなく分かるようになり、自分の成長を感じられる瞬間は嬉しいです。」

「獣医師の診察に立ち会ったり、調教師の指示を理解したりする中で、馬の医学的な知識や、トレーニングに関する知識が自然と身についていきます。馬のことを深く理解できるようになるにつれて、仕事へのやりがいも増していきます。」

「長年厩務員を続けていると、馬の個性や気質を見抜く力が養われます。その馬に合った接し方や、トレーニング方法を見つけられた時は、大きな喜びを感じます。馬との信頼関係が築けた時は、この仕事をしていて本当に良かったと思います。」

まとめ:厩務員という仕事の意義

厩務員という仕事は、体力的な厳しさや精神的なプレッシャーも伴いますが、それ以上に馬との深い絆、そして馬の成長を支えるというかけがえのないやりがいがあります。華やかな競馬の世界を支える影の立役者であり、馬という素晴らしい生き物と真摯に向き合う、非常に意義深い仕事と言えるでしょう。馬への愛情と、責任感、そして向上心があれば、厩務員という道は、あなたにとって唯一無二の素晴らしいキャリアとなるはずです。

この仕事に興味がある方は、まずは競馬場や乗馬クラブなどでアルバイトを経験してみたり、厩務員養成学校の説明会に参加してみることをお勧めします。現場の雰囲気を肌で感じ、仕事内容をより深く理解することで、自分に合った道かどうかを見極めることができるでしょう。

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