建築物環境衛生管理技術者

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建築物環境衛生管理技術者:詳細・口コミ・感想

建築物環境衛生管理技術者とは

概要と役割

建築物環境衛生管理技術者(通称:建環技)は、建築物における衛生的で快適な環境を維持・管理する専門家です。建築物衛生法に基づき、一定規模以上の特定建築物(延べ床面積3,000平方メートル以上で、興行場、百貨店、オフィスビル、学校、病院、旅館など)の所有者・占有者は、専任の管理技術者を配置することが義務付けられています。

建環技の主な役割は以下の通りです。

  • 空気環境の管理:換気設備の点検・清掃、一酸化炭素・二酸化炭素濃度などの測定・評価、改善提案。
  • 飲料水・雑用水の管理:水質検査の実施・評価、衛生的な管理体制の構築。
  • ねずみ・昆虫等の防除:発生状況の調査、駆除・予防対策の実施・評価。
  • 清掃・廃棄物管理:清掃計画の策定・実施状況の監督、廃棄物処理の適正化。
  • 設備の維持管理:給排水設備、空調設備、照明設備などの点検・整備計画の策定・実施。
  • その他:騒音・振動の管理、衛生教育の実施など。

これらの業務を通じて、建築物の利用者の健康を守り、快適な利用環境を提供することが建環技に求められています。

資格取得方法

建環技になるためには、国家試験に合格する必要があります。試験は年に一度実施され、筆記試験のみです。

試験科目は以下の通りです。

  • 建築物衛生概論
  • 建築物の構造・設備
  • 建築物環境衛生行政法規
  • 公衆衛生学
  • 衛生学・消毒法

受験資格には、大学・高等専門学校卒業後、建築物衛生行政や建築物環境衛生管理の実務経験が一定年数以上ある者、または実務経験がなくても、所定の講習を修了した者などが定められています。しかし、一般的には実務経験を積んでから受験するか、大学で関連分野を専攻して卒業後、実務経験を積むケースが多いようです。

活躍できる分野

建環技の資格は、幅広い分野で活かすことができます。

  • ビル管理会社:オフィスビル、商業施設、マンションなどの日常管理業務。
  • デベロッパー:新築・改修工事における環境衛生計画の立案・監修。
  • 事業会社(自社ビル保有):自社ビルや施設の管理担当者。
  • 官公庁:建築物衛生行政に関する部署。
  • コンサルタント:建築物環境衛生に関するコンサルティング業務。
  • 設備管理会社:設備保守・点検業務。

特に、建物の「質」を維持・向上させる上で不可欠な存在であり、建物のライフサイクル全体に関わる重要な職種と言えます。

建環技の口コミ・感想

取得の難易度

建環技の資格試験は、合格率が例年20%台と難易度は高めです。試験範囲が広く、専門知識が多岐にわたるため、計画的な学習が不可欠です。

  • 「独学での合格はかなり厳しい」という声が多く聞かれます。専門学校の講座や、市販のテキスト・問題集を効果的に活用することが推奨されます。
  • 「実務経験がないと、イメージが湧きにくい内容もある」という意見もあります。日頃から建築物に関わる業務に携わっていると、試験内容の理解が深まりやすいようです。
  • 「過去問を徹底的に解くことが重要」というアドバイスも定番です。出題傾向を掴み、苦手分野を克服するための戦略が大切になります。
  • 「法令の問題が苦手だった」という人もいれば、「設備に関する問題は実務で経験があるので比較的解きやすかった」という人もいます。自身のバックグラウンドによって、得意・不得意が分かれるようです。

仕事内容

建環技の仕事内容は、担当する建物の種類や規模によって大きく異なります。

  • 「日々のモニタリングと報告書作成が中心」という声が多く聞かれます。空気環境測定や水質検査の結果を分析し、改善策を提案する業務は、建環技の根幹をなすものです。
  • 「トラブル対応に追われることもある」という意見もあります。急な設備故障や、利用者のクレーム対応など、予期せぬ事態に迅速かつ的確に対処する能力が求められます。
  • 「地味な仕事が多い」と感じる人もいる一方で、「建物を安全で快適な空間に保つという、社会貢献性の高い仕事だと実感している」というやりがいを感じている人もいます。
  • 「最新の技術動向や法改正に常にアンテナを張っておく必要がある」という、継続的な学習の必要性を指摘する声もあります。
  • 「様々な部署や業者との連携が不可欠」であり、コミュニケーション能力も重要になるという意見も。

やりがいと大変さ

建環技の仕事には、確かなやりがいと、それに伴う大変さがあります。

  • やりがい
    • 「利用者の安全・健康を守っている」という実感は、何物にも代えがたいやりがいと言えるでしょう。
    • 「建物の価値向上に貢献できている」という意識も、モチベーションに繋がります。
    • 専門知識を活かして、建物の課題を解決できた時の達成感は大きいものです。
    • 自主性を持って業務を進められる場面も多く、裁量権を感じられることも。
  • 大変さ
    • 責任の重さ:利用者の健康に直結する業務であるため、常に高い意識で臨む必要があります。
    • ルーチンワークの多さ:日々の測定や点検は、地道な作業の繰り返しとなることがあります。
    • 多忙な時期:法改正の時期や、大規模修繕の際などは、業務が集中し、長時間労働になることも。
    • 関係者との調整:オーナー、テナント、清掃業者、設備業者など、様々な立場の人と円滑にコミュニケーションを取り、合意形成を図る必要があります。
    • 専門知識のアップデート:常に最新の知識や技術を習得し続ける必要があります。

まとめ

建築物環境衛生管理技術者は、現代社会において、人々の健康と快適な生活を支える重要な役割を担っています。資格取得は容易ではありませんが、それに見合うだけの専門性とやりがいを持つ仕事と言えるでしょう。

建物の「質」を維持・向上させるプロフェッショナルとして、建環技の需要は今後も安定していると考えられます。特に、高齢化社会や環境問題への意識の高まりとともに、より質の高い建築物環境の整備が求められる中で、その存在意義はますます大きくなっていくでしょう。

「建環技になって良かった」という声がある一方で、「予想以上に大変だった」という声も聞かれます。この資格を目指すのであれば、仕事内容や求められるスキルを十分に理解した上で、計画的に学習を進めることが、成功への鍵となります。地道な努力と、常に学び続ける姿勢が、この資格を活かす上で不可欠と言えるでしょう。

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