エクステリアデザイナー

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エクステリアデザイナー:仕事・資格情報

エクステリアデザイナーは、住宅の外観や庭、通路、駐車場といった「エクステリア」と呼ばれる外部空間のデザインを手がける専門職です。単に美しい外観を作るだけでなく、住む人のライフスタイル、機能性、安全性、そして周辺環境との調和を考慮した、総合的な空間設計を行います。近年、住まいへの関心が高まるにつれて、エクステリアデザインの重要性も増しており、注目を集めている職種と言えるでしょう。

仕事内容の詳細

エクステリアデザイナーの仕事は多岐にわたります。

ヒアリングとプランニング

まず、クライアント(施主)の要望を丁寧にヒアリングすることから始まります。どのような暮らしをしたいのか、どのような雰囲気のエクステリアを求めているのか、予算はどのくらいかなどを詳細に聞き取ります。このヒアリングが、デザインの方向性を決定する上で最も重要なステップとなります。
その後、収集した情報をもとに、平面図、立面図、パースなどの図面を作成し、具体的なプランを提案します。植物の選定、素材の選択、照明計画、水回り(ウッドデッキ、プールなど)の配置など、細部にわたる計画を練り上げます。

デザインと設計

デザインのコンセプトが固まったら、それを実現するための詳細な設計を行います。構造的な安全性はもちろんのこと、景観法や建築基準法などの法令遵守も考慮しなければなりません。使用する建材の選定、植栽計画、照明器具の選定など、デザインの細部を詰めていきます。
3DパースやCGなどを活用し、完成イメージを視覚的に分かりやすくクライアントに提示することで、イメージの共有と理解を深めます。

施工管理

デザインが承認されたら、実際の施工に進みます。エクステリアデザイナーは、設計図通りに工事が進んでいるか、素材や色合いなどがイメージ通りかなどを現場で確認・監修します。必要に応じて、職人さんたちとの打ち合わせを行い、細かな指示を出したり、問題が発生した場合には解決策を提案したりします。
施工業者との連携も重要であり、円滑なコミュニケーションを図りながら、高品質なエクステリアの完成を目指します。

アフターフォロー

工事完了後も、クライアントの要望に応じて、植栽の手入れ方法のアドバイスや、追加の工事、リフォームなどの相談に対応することもあります。長期的な視点で、住まいとエクステリアの美しさを保つためのサポートを行います。

必要なスキル・知識

エクステリアデザイナーには、幅広いスキルと知識が求められます。

デザイン力・美的センス

空間全体のバランス、色彩感覚、素材の組み合わせなど、美的なセンスは不可欠です。クライアントの要望を汲み取り、それを形にする創造力も重要です。

コミュニケーション能力

クライアントとの円滑なコミュニケーションはもちろん、施工業者や職人さん、場合によっては行政担当者など、多くの関係者との連携が求められます。相手の意図を正確に理解し、自分の考えを分かりやすく伝える能力が必要です。

専門知識

植物に関する知識(種類、育て方、季節ごとの変化など)、建材に関する知識(強度、耐久性、メンテナンス性、価格など)、照明計画に関する知識、建築法規など、エクステリアデザインに関連する幅広い専門知識が求められます。

CAD・CGスキル

デザインを視覚化するためのCAD(Computer-Aided Design)ソフトやCG(Computer Graphics)ソフトの操作スキルは、現代のエクステリアデザインにおいて必須と言えるでしょう。

空間認識能力・立体感覚

平面図から空間をイメージする能力、そしてそれを立体的に把握する能力は、デザインの精度を高める上で重要です。

資格について

エクステリアデザイナーとして働く上で、必須となる国家資格はありません。しかし、専門性を高め、信頼を得るために役立つ資格はいくつか存在します。

エクステリアプランナー(民間資格)

日本エクステリア建設業協会が認定する資格で、エクステリアに関する知識や技能を証明するものです。1級と2級があり、実務経験や試験によって取得できます。エクステリアプランナー資格を持つことで、専門家としての信頼性が高まります。

ガーデンデザイナー(民間資格)

日本ガーデンデザイン協会などが認定する資格で、庭園のデザインや施工に関する専門知識を証明するものです。エクステリアデザインの一部として庭園のデザインに特化したい場合に役立ちます。

一級・二級建築士

建築物の設計・工事監理を行うための国家資格です。エクステリアデザインも建築物と密接に関連するため、建築士の資格があると、より専門的な知識を活かしたデザインが可能になります。ただし、エクステリアデザインのみを行う場合は必須ではありません。

造園施工管理技士(国家資格)

造園工事の施工計画を作成し、工程管理、品質管理、安全管理などを担当する国家資格です。エクステリアデザインの実務経験を積んだ後、施工管理の側面を強化したい場合に有効です。

その他

植栽に関する資格(例:グリーンアドバイザー)、色彩に関する資格なども、デザインの幅を広げる上で役立つ可能性があります。

口コミ・感想

エクステリアデザイナーの仕事に対する口コミや感想は、多岐にわたります。

やりがい

* 「自分のデザインが形になり、クライアントに喜んでもらえた時の達成感は格別です。住む人の生活を豊かにできる仕事だと感じています。」
* 「季節の移ろいとともに変化していく庭の様子を見るのが好きです。植物の成長や季節ごとの景観の変化に携われることに魅力を感じています。」
* 「単なる見た目の美しさだけでなく、機能性や快適性まで考慮した空間を作り上げられた時、プロフェッショナルとしてのやりがいを感じます。」

大変さ

* 「クライアントの要望が抽象的だったり、予算との兼ね合いが難しかったりする場面もあります。要望を形にするための試行錯誤は常に伴います。」
* 「天候に左右されることも多く、現場での急な変更やトラブルに対応しなければならないこともあります。屋外での仕事なので、体力も必要です。」
* 「デザインだけでなく、法規や建材の知識、施工管理まで幅広い知識が求められるため、常に勉強し続ける必要があります。」
* 「3Dパース作成など、PCスキルも重要になってきており、苦手な方にはハードルが高いかもしれません。」

キャリアパス

* 「はじめはデザイン事務所やハウスメーカーで経験を積み、独立して自分のデザイン事務所を立ち上げる人も多いです。」
* 「エクステリアデザインだけでなく、インテリアデザインや住宅設計など、関連分野にスキルを広げていくことも可能です。」
* 「造園施工管理技士などの資格を取得し、施工管理の分野でキャリアを積む道もあります。」

未経験からの挑戦

* 「未経験からエクステリアデザイナーを目指す場合、まずはアシスタントとして実務経験を積むのが一般的です。CADスクールに通ったり、関連資格を取得したりして、基礎知識を身につけておくことも有効でしょう。」
* 「デザイン系の専門学校や大学でエクステリアデザインを専攻するのも良い方法です。学校での学びと実務経験を組み合わせることで、よりスムーズにキャリアをスタートできる可能性があります。」

まとめ

エクステリアデザイナーは、創造性と専門知識を活かして、人々の暮らしを豊かにする魅力的な仕事です。クライアントの理想を形にし、自然や環境との調和を考えた空間を創り出すことにやりがいを感じる方には、非常に適した職業と言えるでしょう。

未経験から目指す場合は、デザインの基礎知識やCADスキルを習得し、アシスタントとして実務経験を積むことが重要です。また、エクステリアプランナーなどの資格取得は、専門性の証明となり、キャリアアップに繋がります。

日々の技術進歩やトレンドの変化に対応するため、常に新しい知識や技術を学び続ける姿勢が求められますが、それらを乗り越えた先には、人々に感動を与える美しい空間を創り出すという、大きな達成感が待っているはずです。

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