非破壊検査員:仕事・資格情報、詳細・口コミ・感想
仕事内容
非破壊検査員は、製品や構造物の損傷、欠陥、劣化などを、それを破壊することなく検査する専門職です。鋼構造物、プラント設備、原子力発電所、航空機、自動車部品など、多岐にわたる分野で活躍します。
主な検査方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 超音波探傷試験 (UT): 超音波の反射や透過を利用して内部の欠陥を探知します。
- 放射線透過試験 (RT): X線やガンマ線を用いて内部の欠陥を画像化します。
- 磁粉探傷試験 (MT): 磁性体に磁場をかけ、表面や近表面の亀裂などを検出します。
- 浸透探傷試験 (PT): 表面の微細な亀裂に浸透液を浸透させ、現像液で亀裂を可視化します。
- 渦電流探傷試験 (ET): 金属材料に渦電流を発生させ、その変化から欠陥を検出します。
これらの検査手法を駆使し、目視では確認できない内部の亀裂、溶接不良、腐食、材質のばらつきなどを正確に評価します。検査結果は報告書としてまとめられ、製品の安全性や品質保証に不可欠な情報を提供します。
仕事のやりがい・魅力
非破壊検査員の仕事は、社会の安全・安心を支える重要な役割を担っているという点に大きなやりがいがあります。目に見えない危険をいち早く察知し、事故を未然に防ぐことは、何物にも代えがたい貢献と言えるでしょう。
また、高度な専門知識と技術が求められるため、常に学び続ける姿勢が重要であり、自己成長を実感できる仕事でもあります。最新の検査技術や知識を習得することで、自身のスキルアップに繋がり、より複雑で高度な検査に携われるようになります。
さらに、検査対象が多岐にわたるため、様々な産業分野に触れることができ、幅広い知識と経験を積むことができます。プラントの点検で日本全国を飛び回ったり、時には海外での検査に携わる機会もあるかもしれません。
仕事の厳しさ・大変さ
一方で、非破壊検査員の仕事には厳しさや大変さも伴います。
- 過酷な労働環境: 高所、狭所、高温・低温環境、騒音、粉塵など、厳しい環境下での作業が少なくありません。特にプラントの定期検査などは、限られた期間で集中的な作業が求められます。
- 責任の重さ: 検査結果の誤りは、重大な事故に繋がる可能性があります。そのため、常に高い集中力と正確さが求められます。
- 専門知識の習得: 多岐にわたる検査手法を習得し、常に最新の知識をアップデートしていく必要があります。
- 体力的な負担: 検査機器の運搬や長時間の姿勢保持など、体力的な負担も無視できません。
資格情報
非破壊検査員として働く上で、資格は必須ではありませんが、取得することで専門知識や技術の証明となり、キャリアアップに有利になります。代表的な資格としては、以下のようなものがあります。
- 日本非破壊検査協会 (NDIS) 資格:
- UT (超音波探傷試験)
- RT (放射線透過試験)
- MT (磁粉探傷試験)
- PT (浸透探傷試験)
- ET (渦電流探傷試験)
これらの資格は、レベル1からレベル3まであり、レベルが上がるほど高度な知識と実務経験が求められます。
- 溶接管理技術者: 溶接に関する知識や技術を証明する資格です。
- 各産業分野の専門資格: 原子力分野であれば原子燃料取扱主任者、航空機分野であれば航空機整備士の資格なども関連してきます。
資格取得には、講習の受講や実技試験、筆記試験などをクリアする必要があります。
口コミ・感想
実際に非破壊検査員として働いている方々の声や、この仕事に興味を持っている方々の感想をまとめました。
良い点
- 「目に見えないものを見つける面白さがあります。まるで探偵のようで、やりがいを感じます。」
- 「社会のインフラを支えているという実感があります。自分が検査したものが安全に使われていると聞くと、誇らしい気持ちになります。」
- 「様々な現場に行けるので、飽きずに仕事ができます。時には普段行けないような場所に行けるのも魅力です。」
- 「専門性が高いので、手に職をつけたい人にはおすすめです。スキルアップすれば、待遇も良くなる可能性があります。」
- 「チームで協力して検査を進めることが多いので、仲間との連帯感も生まれます。」
大変な点
- 「夏は暑く、冬は寒い。夏場の鉄骨の上での検査は本当に過酷です。」
- 「危険と隣り合わせの現場もあるので、常に安全第一を心がけていますが、緊張感は常にあります。」
- 「覚えることが多くて大変です。新しい検査方法も次々と出てくるので、勉強は欠かせません。」
- 「体力勝負な場面も多いので、日頃から体調管理には気を使っています。」
- 「報告書の作成など、地道な作業も多いです。」
その他
- 「未経験からでも、研修制度がしっかりしている会社であれば挑戦しやすいと思います。」
- 「将来性のある仕事だと思います。インフラの老朽化が進む中で、非破壊検査の重要性はますます高まるでしょう。」
- 「女性の非破壊検査員も増えてきています。体力的な負担が大きい業務もありますが、適材適所で活躍されている方もいます。」
まとめ
非破壊検査員は、高度な専門知識と技術を駆使して社会の安全・安心を支える、非常にやりがいのある仕事です。厳しい労働環境や高い責任を伴いますが、自己成長を実感でき、社会貢献度の高い職種と言えます。
資格取得は必須ではありませんが、専門性の証明やキャリアアップのために有効です。未経験からの挑戦も可能ですが、強い責任感、探求心、そして体力が求められます。インフラの維持・管理が重要視される現代において、非破壊検査員の果たす役割は今後も増していくと考えられます。
この仕事に興味がある方は、まずは関連する資格について調べたり、求人情報を閲覧してみることから始めるのが良いでしょう。

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